- 水耕栽培の肥料って何を選んだら良いの?
- 養液計算に使いやすいツールってある?
- おすすめの処方は?
こんな疑問をお持ちではないでしょうか。

こんにちは!橘 葱太郎です。
水耕栽培をする上で養液の計算は欠かせないものでして、世の中にはそのための計算ツールがいくつか存在しております。
とはいえ初心者には使いにくかったり、有料だったりで、なかなか手軽に使えないのが実情なんですよねー。かくいう私も養液栽培の勉強を始めた頃は苦労しました。
そんな中でも10年以上現場に携わってきた経験を活かし、シンプルかつ色々な状況に対応しうる養液計算のツールを作りました。こちらの記事で紹介していきます。
養液計算ツールには選択肢が少ない
まず前段として、養液計算をめぐる世の中の状況を少し解説しておきます。
シンプルに言うとタイトルの通り。養液計算をしようとツールを探してみても、なかなか見つからない。ということにすぐ気づくはずです。



手軽に使えてすぐに手に入るツールが無いんだよねー
もちろん探すといくつか手に入ると思いますが、「それいる!?」ってな機能がモリモリだったりしていて、あまり初心者には優しくないのかも。
というわけで、出来るだけシンプルかつ、色々な状況に対応可能なツールを作成いたしました。



家庭菜園でも使えるし、プロの方々にも使って欲しい!
特徴は、エクセルのシート1枚のみで完結するシンプルさ


画面を見てもらえるとわかるように、使うのはシート1枚のみです。



シンプル イズ ベスト!
それでいて、OATなどの配合肥料と単肥のどちらの場合でも対応可能です。さらに配合肥料と単肥の組み合わせなんてことも出来ちゃいます。
実際の養液管理の場で生まれた、そういった事もできたらいいなー。ってところを実現させております。
ダウンロード
というわけで、ダウンロードはこちらからお願いします。エクセル版とGoogleスプレッドシート版を用意してます。
お好きな方を選んでください。
エクセル版
■使い方
zipファイルを解凍してお使いください。
Googleスプレッドシート版
■使い方
スプレッドシートを開き、左上の「ファイル」より、「コピーを作成」でご自身のマイドライブにコピーできます。
ヤサマガ式養液計算シートの使い方
それでは使い方の解説に入ります。
ざっくりと左半分が入力欄、右半分が結果の確認欄となっています。
色々と計算式が入っているスペースが右の方にありますが、非表示にしています。あまり計算式を触ると正しく使えなくなるかもなので注意です。
手順① 作成量、濃縮倍率、参考処方を入力


■1倍の養液を作成する場合
作成量は作成する養液の水量、濃縮倍率は「1」倍と入力してください。
■濃縮原液を作成する場合
作成量は、A液・B液どちらか片方の水量です。例えばA液100LとB液100Lを作る場合、「100」Lと入力してください。
濃縮倍率は、濃縮原液を作る場合の濃度。濃すぎると溶けにくくなるかも。(100倍くらいは余裕です。)
■参考処方について
一般的に知られる処方と比較して、成分が多いか少ないかを確認できます。
作成量と濃縮倍率は例えばこんな感じ
いくつかパターンごとの記入例は以下のような感じです。
家庭菜園で養液タンクに30L作りたい
画像:作成量・・30L 濃縮倍率・・1倍
大規模に養液タンクに10000L作りたい
画像:作成量・・10000L 濃縮倍率・・1倍
100倍の濃縮原液を200LのA,Bタンクに作りたい
画像:作成量・・200L 濃縮倍率・・100倍
参考処方はぜひヤサマガ処方を試してみてください
参考処方の欄を入力することで、園試処方や大塚処方と比較して成分が多いか少ないかを確認することができます。
ヤサマガ処方ってのは、ヤサマガオリジナルの処方でして、葉物野菜向けにバランスが崩れにくい処方となっています。水耕栽培で葉物野菜を作る場合には、良ければ試してみてください。(全くバランスが崩れないわけではないです!)
ちなみに種類が3つ有りまして、それぞれ、
- ヤサマガ葉もの(養液用)
1倍の養液で作る場合用。アンモニウムイオンが少なめ。
- ヤサマガ葉もの(追肥用)
追肥のために濃縮原液を作る場合用。アンモニウムイオンが多め。
- ヤサマガ葉もの(家庭菜園用)
家庭菜園向けに、OATを利用することで配合が簡単なもの。ハイポニカよりコスパ良。
手順② 原水成分を入力


水道水を使う場合は初期値のままで問題ないかも。水道水の成分は地域差もありますが微妙な違いですので…。気になる場合は成分分析の業者を使って調べるか、自治体の水質検査も参考にできます。
水道水以外を用いる場合は出来るだけ正確に調査して入力するのがベター。特定の成分が多すぎると、養液のバランスに影響が出てしまいます。
注意点
入力する値は、「元素表示」、「イオン表示」、「酸化物表示」で計算が変わるので、表中の書き方へ換算する必要あり。
特定の成分が多い水だと、それに合わせて他の成分を調整する必要がある
水道水は行政の水質検査が定期的に行われており、一定の水質が確保されております。なので養液を作る際に水質によって大きな影響が出ることはないです。
他の用水を使う場合、特定の成分がもともと多く含まれているケースがあります。その場合、同じ肥料を投入しても元の成分が違うために差が出てしまうんですよねー。
そのような場合は、肥料の投入量を調整してあげることで修正が可能です。
例えば、カルシウムが多い用水を使う場合、カルシウムの投入量を減らすことで全体のバランスが調整できます。



そういった計算のために、ヤサマガ式養液計算シートを活用してください!
手順③ 肥料の使用量を入力


投入する肥料の使用量を入力すると、右側に計算結果が表示されます。
化学式や含有成分が違う肥料の場合は計算式が変わるので注意してください。
単肥・配合肥料がどちらも項目に含まれていて、同時に使うことも可能です。
実践編 計算結果を見ながら投入量を調整する


実際にどのやって肥料の投入量を調整していけば良いか。そのあたりをもう少し解説します。
肥料成分の計算結果は、シート右側に表示されております。上段は実際の含有量、下段は養液全体に対する比率(多量元素のみ)です。
さらにその下には、参考処方欄に入力した処方と比較して成分が多いか少ないかが表示されています。
このあたりを見ながら、「使用量」の欄に値を入力していくというわけです。
まずは家庭菜園規模で作成する方向け
養液を作成する選択肢としては、手軽に使えるハイポニカなんかがあるわけですが、コスパを考えるとOATハウス肥料がおすすめです。
OATの肥料には1号、2号、3号・・・と種類がいくつかあり、処方としてもA処方とかB処方のようにいくつか設定されています。例えばA処方の場合には、1号:2号を3:2の比率でブレンドします。
ヤサマガ的には、これに単肥の硝酸カリウムを加えたヤサマガ葉もの(家庭菜園用)処方をおすすめしております。葉もの野菜を栽培するときにバランスが崩れにくいです。
シート内に初期値で入力されているのはこの処方となっています。
作成量が100Lになっていますので、お好きな量に変更してください。その場合は肥料の使用量も変更してくださいね。例えば作成量を50Lにする場合は、肥料の使用量も半分ですよー。
大規模に養液を作成するプロの方向け
数トン単位の水量で養液を作成するプロの方々、おすすめなのは単肥を組み合わせて作成することです。OATやハイポニカと比較して圧倒的にコスパが良いのと、成分バランスの微妙な調整が可能であるためです。
基本的には肥料欄に含まれている5種類の単肥肥料を用いることで、組み合わせ次第で色々な処方を作り出すことができます。
ただし、家庭向けにはオススメできません。単肥が家庭菜園向けではないのが、20kgとかの単位でしか手に入りにくいところですな。小分けで販売してくれているお店もありますけどねー。
というわけで、処方に関しても「ヤサマガ葉もの(養液用)」として用意しております。狙ったバランスになるように単肥を組み合わせてください。
含まれているアンモニウムイオンの比率によって、養液用と追肥用に分けています。なぜ分ける必要があるの?って方はこちらの記事も参考にどうぞ。


ちなみに必ずしも既存の処方通りに養液を作成する必要は無いと思います。
シートの使い方はシンプル。でも結局難しいのは、「どんな処方が良いのか」
計算シートの操作方法自体はシンプルで、特に細かい解説も必要ないだろうと思うところ。
とはいえ栽培管理で難しいのは、結局「植物にとって、どんな処方がベストなのかわからない」ってところですよねー。
まぁこればっかりは、植物の生育を見守りつつ色々な処方を試していくしかないですな。
葉物野菜向けには、「ヤサマガ処方」としても用意していますので、迷ったらぜひ試してみてください!
ヤサマガ式養液計算シートの利用規約
ヤサマガ式養液計算シートは、規約の範囲内であれば、個人、法人、商用、非商用問わず無料でご利用頂けます。
ただし著作権は放棄しておらず、著作権は橘葱太郎が所有します。
規約の範囲内であれば自由に編集や加工をすることができますが、加工の有無、または加工の多少で著作権の譲渡や移動はありません。
以下の場合、ご利用をお断りします。
- 公序良俗に反する目的での利用
- 反社会的勢力や違法行為に関わる利用
- 計算シート自体をコンテンツ・商品として再配布・販売
- その他著作者が不適切と判断した場合
ヤサマガ式養液計算シートを利用することによって発生したトラブルについては一切責任を負いかねます。
全ての規約は予告無く改変する場合があります。予めご了承下さい。
水耕栽培がもっと広まって欲しい
最後までご覧いただき感謝です。
この記事では、「ヤサマガ式養液計算シート」について解説してきました。
できるだけシンプルでありつつも、必要な機能は含めたい!ということで肥料計算のためのツールを作りました。
水耕栽培がもっと手軽なものになることを願っております。
ヤサマガでは、水耕栽培に関する知識や技術を発信しております。他の記事もぜひ参考にどうぞ。
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