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水耕栽培で茶色い根に注意!白く張りのある根に育てる方法【酸素と水温】

  • 根が腐った時は酸素不足が原因?
  • 養液に十分に酸素を含ませるにはどうしたらいい?

こんな疑問をお持ちではないでしょうか。

こんにちは!橘 葱太郎です。TwitterYoutubeもどうぞ。

水耕栽培をやっていて、根が茶色くなったり、腐ってしまった経験はないでしょうか。それって養液の酸素不足が原因かもしれません。

ということで今回の記事では、かなり大事だけど見落とされることもある「養液中の酸素」をテーマに解説してきます。

なぜ養液中の酸素が大事かというと、酸素が無くなると植物の生命活動が止まってしまうから。酸素が必要不可欠ってのはヒトも含む動物と一緒ですな。

ではそのあたりの理由とか、どんなことに気をつけたら良いのかを見ていきましょー。

酸素は大事!

\水耕栽培の「知っておくと役立つ」って感じの記事をまとめてます/

目次

植物には酸素が不可欠

植物が光合成によって、「二酸化炭素を吸収」して「酸素を放出」しているということは、一般的によく知られています。

ヒトも含む動物の場合は呼吸によって酸素を取り込み、体内の細胞が酸素を消費することで生きています。

植物も動物と同様に細胞で構成されている生物であるので、エネルギーを作り出すために酸素を必要とします。そのため光合成と同時に呼吸も行って、酸素を吸収しているわけですな。

植物は酸素を吐き出すだけでなく、吸収もしている!

ちなみに光合成の仕組みがさっぱりな方へ。

先にこちらの記事を読んでおくと、ここから先の内容が理解しやすいかもです。専門用語は少なめに書いてます。

根からも酸素を吸収する

植物が吸収した酸素は、葉、茎、根で使われます。植物は基本的に全身から酸素を吸収できるので、葉や茎では空気中から酸素を吸収しています。

一方で根はどうかと言うと、根も空気から吸収したいところですが、水耕栽培の場合だと根は水に浸かっているわけです。葉や茎で吸収した酸素を根まで輸送することも可能なのですが、輸送だけでは追いつかずに根は酸欠になってしまいます。

そこで、根は水中でも水に溶け込んだ酸素を吸収できるようになっておりまして、養液から酸素を吸収することで酸欠を防いでいるわけです。

養液の酸素不足で起こること

というわけで、養液の酸素が足りないと植物は酸欠状態に陥ります。

植物にとって酸欠がどう良くないのかというと、動物と全く同じ。「酸欠=生命活動の停止」と言えます。といっても、動物と違って酸素不足になっても数分で死に至ることはないんですけどねー。

それでは植物が酸欠になると具体的にどんな症状が出るかというと、以下のような感じ。

  • 養水分吸収が低下して、植物全体がしおれたり、ぐったりする
  • 植物ホルモンの合成に異常が起きる
  • 根腐れを起こす

と、まぁ最悪枯れてしまうこともあります。しかも病気のような枯れ方と違って、酸欠の場合は数時間で植物全体に異常が出ることもあります。

ちなみに、水耕栽培の場合、健康な苗の根は白くて張りがある感じです。これが酸欠の場合だと茶色っぽくなり、根腐れを起こすとドロドロした感じになります。

植物の生育が悪くなってきたら、根をチェックしてみるのも良いですよー。

養液中に十分な酸素を含ませておく方法

さてここまで、植物には酸素が必要。って話と、根から吸収する酸素は大事。って話をしました。

根から十分な酸素を吸収できる状態にしておくためには、養液中に酸素を含ませておく必要があります。

そのために何をしておいたらいいの?ということで、以下のようなことを解説します。

  • 植物に必要な溶存酸素量と計測方法
  • 養液内でエアレーションを使う
  • 養液に酸素を溶け込ませるために、養液を循環させる
  • 養液内での微生物の増殖に注意する
  • 水温を上げすぎない
  • 根の一部を空気中に露出させると酸素を吸収できる

ちなみに水に溶け込んでいる酸素濃度のことを「溶存酸素濃度【DO】」といいます。養液管理の世界では、このDOも管理指標の一つとしてチェックしているわけです。

植物に必要な溶存酸素量と計測方法

DOが少なすぎると酸欠になってしまうわけですが、養液中の含有量によって作物の生育に影響があることがわかっています。

育てる作物や水温によっても異なるのですが、DOが高ければ高いほど生育が良くなる、というわけでもないようです。

DOごとのトマトの生育グラフ
郭 世栄 el al. (1997). トマトおよびキュウリ幼植物の生長と無機栄養に及ぼす培養液の溶存酸素濃度の影響 園芸学会雑誌

図の横軸がDOですが、濃度が4ppm以下だと生育が良くないですね。ちなみに○は22℃、●は30℃の条件の場合です。

DO濃度が少なすぎると生育に問題が発生するので、そうならないような濃度で管理していく必要があるんですよねー。


と言ってもDOは頻繁に変動するものでもなく、DO計が高価なのもあって、根に問題が出るようだったら計測するくらいで良いかもです。

DO計ってのはこういうのですので、計測してみたい方はどうぞ。かくいう私も自宅の家庭菜園では使っておりません。まぁ正直、家庭菜園レベルだと不要です。

養液内でエアレーションを使う

エアレーションってのは、アクアリウムの水槽なんかでもよくある、水中に空気をぶくぶくと送り込む機材です。

通称「ぶくぶく」と呼ばれている、あれですな。

エアレーションをすると、気泡から酸素を供給できるだけでなく、水流によってタンク内を撹拌できるという効果もあります。

非循環式の水耕栽培だと、選択肢の一つにはなるかもですねー。

でも循環式の場合だとわざわざエアレーションを使うメリットは少ないかも。他にも酸素供給の方法がありますからねぇ。

養液に酸素を溶け込ませるために、養液を循環させる

循環式の水耕栽培の場合だと、養液がタンクとベッドの間を循環する過程で曝気されます。

循環される水量が少ない場合は効果が薄くなりますが、特別なエアレーションの設備は必要とせずに養液の溶存酸素量が増やせるわけです。

養液内での微生物の増殖に注意する

微生物も生物ということで、活動する際に酸素を必要としますが、養液中にも微生物が存在しています。

養液中の微生物数が多くなると、微生物が消費する酸素量も増えてしまう事態に。なので、養液中で微生物を増殖させないことも酸素量の維持には必要なことです。

微生物は有機物を餌として増殖します。養液中での有機物ってのは、千切れた葉や根のようなもののことです。

というわけで、定期的に掃除をして、ゴミは取り除いておきましょうってことですな。

水温を上げすぎない

水温を上げると根の呼吸量が増えるので、より多くの酸素が必要となります。

一方で、水温が高くなると水中に溶け込める酸素の最大量が少なくなります(飽和溶存酸素量)。

つまり水温が高くなると、酸素がより多く必要なのに水中に溶け込める酸素量は減ってしまう。てな感じにダブルで酸欠の危機が生じてしまうわけです。

飽和溶存酸素量の解説と、水温をコントロールするコツは下の方にも書いております。

根の一部を空気中に露出させると酸素を吸収できる

これは「養液に酸素を含ませる」方法ではなくて、「根に空気中から酸素を吸収させる」方法になります。

根から吸収する酸素は、養液からだけでなく実は空気中からも吸収できます。なので、根の一部を空気に触れさせておけば、酸素不足を予防できるってわけです。

そのためには養液の水位を上下させることで、根を空気に触れさせる手法なんてものがあります。

あとは、根を空中に露出させて養液を霧状にして根に吹き付けて育てる「噴霧耕」ってのもありますねー。いくつかある養液栽培の手法はこちらの記事も参考にどうぞ。

水温が養液と植物に与える影響

ここまでは養液中の酸素濃度について解説してきまして、その中で水温の影響について触れてます。水温が高くなりすぎると悪影響という話でしたね。

そのあたりをもう少し深堀りしまして、具体的には生育にどういう影響があるのか、じゃあどうやって水温をコントロールしたら良いか、ってところを解説していきます。

水温が植物の生育へ与える影響

作物の生育にはちょうど良い気温がありますが、ちょうど良い水温も決まってます。気温も水温のどちらも、適温から外れると生育が遅くなるとされているんですよねー。

実際のところ、生育に対する気温や水温の影響は大きくて、収量との相関も高いってことが知られています。まぁ何度が適温であるかは作物によって異なるわけですが。

で、その中でも水温は、当然ながら根に対して影響が大きいです。水温が適温から外れることによる生育への悪影響は以下のような感じ。

水温が高すぎる

  • 根が細く長くなり、根腐れしやすくなる
  • 植物体内での代謝が抑制される

水温が低すぎる

  • 根の働きが弱くなる
  • 呼吸や光合成速度が低下する

上記のような状況になった場合、根の量が減ってしまいます。根の量が減ると、葉や茎の成長も悪くなってしまうというわけです。しかも根の減少に輪をかけて地上部分の方が小さくなりがち。

つまり、水温は根に対して影響を与えますが、結果として植物全体への影響が大きいってことが言えるわけです。

水温によって養液に溶け込むことができる酸素量が変わる

養液に溶け込める酸素の最大量は、水温の影響によって変化します。ちなみに水に溶け込む酸素の最大量のことを飽和溶存酸素量といいます。

水温による飽和溶存酸素量は以下のような感じ。

水耕栽培の水温は20℃前後が多いですが、水温20℃での飽和溶存酸素量は【8.84mg/L】ってことになるわけです。

作物の生育に最適な水温

で、結局、水温は何度くらいが良いの?

はい、そうですよね。

上の方でも書いたとおり、適切な水温は作物による差があります。しかし、だいたいの作物は20℃前後が良いとされているんですよねー。

なので水温は20℃くらいで維持しておくと失敗は少ないかと思います。

20℃より水温を高めることで生育が良くなるという研究もありますが、溶存酸素量の兼ね合いもあるので丁度よいラインを見極める必要はありそう。

気温や水温と生育の影響を調査した実験について、過去に記事にしたことがありました。こちらも参考にどうぞ。

水耕栽培で水温が変化する要因とコントロール方法

というわけで、水温は高すぎても低すぎても良くないというわけです。まぁできるだけ適温くらいで維持してくれると良いってことですな。

水温が変化してしまう要因は何なの?

はい、問題はそこですよね。

それでは水温が変化する要因とコントロール方法について、以下を解説していきます。

  • 水温は気温の影響を受ける
  • ポンプの熱が養液に伝わる場合がある
  • 加温と冷却の設備について

水温は気温の影響を受ける

水温は気温の影響を大きく受けています。なので、水温を調整する設備がない場合には、水温は気温とだいたい同じ温度となります。

1日のなかで気温が変化する栽培環境だと、気温の変化に応じて水温も変化するということです。ただまぁ設備によって断熱効果は違うので、変動幅は設備次第かなって感じです。

例えば、断熱効果が高い発泡スチロール製の栽培ベッドですと、気温が要因となる水温の変動は小さくなるわけです。

ポンプの熱が養液に伝わる場合がある

循環式の水耕栽培システムの場合だと、養液循環のためにポンプが使われています。ポンプが稼働すると熱が発生するのですが、その熱も水温上昇の要因になります。

どれくらいの熱が発生するかは使うポンプによって差があって、その熱が水に伝わりやすいかどうかもポンプ次第って感じ。マグネットポンプのように、養液とポンプのモーター部分が分離しているタイプだと熱が伝わりにくいです。

ポンプと養液の関係性を調査した研究は過去にも記事に書いております。養液成分に関する分析がメインの実験ですが、「水温が上がりすぎてしまって生育が失敗した」ってな感じの結果となっております。

加温と冷却の設備

いくつかの要因から影響を受けている水温なのですが、直接的に養液を加温/冷却できる設備も存在しています。まぁもちろん導入にはコストがかかるし、メンテナンスも必要になるわけですが。

ただ、空調を使って施設全体を加温・冷却するのと比べると、水温をコントロールする方が経済的だとは言われているんですよねー。

栽培施設の温度変化が著しくてどうしようもないとき、コストを抑えつつ対応するには検討の余地ありです。

まとめ

最後までご覧いただき感謝です。

この記事では、「酸素不足の植物への影響」や「養液に酸素を含ませる方法」、「水温による養液や根への影響」を解説してきました。

養液栽培を始める際にはぜひ参考にしてみてください。

ヤサマガでは、水耕栽培に関する知識や技術を発信しております。他の記事もぜひ参考にどうぞ。

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