- 家庭菜園で水耕栽培ってできるの?
- 水耕栽培の機械って買うの?自分で作るの?
- DIYは初心者だけど、水耕栽培装置は作れる?
こんな疑問をお持ちではないでしょうか。
一応私には現役の水耕栽培生産者という肩書きがございます。
まぁ設備に関しては専門の業者さんがいるわけですので、私は設備を作る方ではなくて設備を使って栽培する方が専門なのですが・・・。
というわけで設備を「作る」方は日曜大工レベルな私ですが、それでも家庭菜園レベルの水耕栽培設備であれば自分でも作ることができましたので、作り方を解説してみます。
ちなみに特にDIYスキルが無くても問題なしです。
作り方解説の前に、設計の解説をしておく
水耕栽培設備には市販されているものを始めとして、様々な形状のものがあります。
それぞれにメリット・デメリットがあるわけなのですが、今回は一からDIYということで、まずは装置の設計部分を解説しておきます。
装置の特徴としてはこんな感じになっております。
- 窓際という狭い面積のため、縦型(垂直栽培)
- ポンプを使って水を循環
- 塩ビ管よりもコストを抑えるためにホースを使用する
- 余った端材とかを使ってコストを抑えつつも、DIYスキルが無くても作れる設計
それでは順に解説します。
なぜ自宅室内の窓際か
家庭菜園というと、庭やプランターで土を使う栽培方法が最も一般的と思います。
しかし我が家のような小さなアパートですと、当然庭はなくベランダのスペースも限られるという状況でございます。
そのような場合でも、窓際であれば太陽光は当たりますので、室内でも植物を育てることは一応可能です。(まぁ外と比べると光量が十分とは言えないのですが)
室内ならではのメリットもありまして、水耕栽培であれば虫も沸きにくいですし、外よりも温度変化が少ないということがあります。
栽培する野菜はレタスなどの葉物が中心になるのですが、室内の気温であれば一年通して栽培することも不可能ではないです。
お世話の労力を減らすために、養液循環式
野菜を育てるには結構手間がかかるものです、水をあげたり肥料をあげたりするわけですからね~。
その点、養液循環式の水耕栽培ですと手間が少なく、ほぼ手放しですが元気に育っております。
週に1回くらい収穫と植替えをしていますが、やることはそれくらい。たまに養液の調整とかゴミ取りネットの取替えもしてますが、時間にすると1週間で10分ほどです。
一度装置を組み立てて稼働させると、後はそんなにやる事がありません。
よくある塩ビ管ではなく、ホースを使ってみる
水耕栽培設備の情報はインターネット上でいくつも見かけることができます。
ちなみに今回、DIYを始める前に市販の水耕栽培キットも探したのですが、あまりパッとしたものが無いんですよね~。価格が高かったり、栽培できる株数が少なかったり・・・。
というわけで今回はDIYしてみることに。ネット上では塩ビ(PVC)を使ったものが多いかなーと思います。価格がそれほど高くなく、丈夫で加工しやすいですしね。

私でも切って繋げるくらいはできました笑
ただ今回は、さらにコストを抑えるために塩ビではなくホースをメインに使ってみました。
では塩ビとホースのどちらが良いの?ってところですが、今のところホースでも全く問題なく野菜は育っておりますし、設備全体の軽量化にも繋がりました。そして塩ビ管を切るより楽でした。
ただし塩ビ管より強度の面で不安はあります。洗いにくかったりもしそうです。
とにかく安く、DIYスキルが無くても作れるように
価格を安く抑えたいということで、余っていた端材を使ったりとか、発泡スチロールの安い箱を使ったりしています。
まぁこのあたりの材料は壊れなければ何でも良いです。
DIYスキルがあれば、もっと色々出来るんだろうな~・・・。とか思いつつ、今回は既製品をたくさん買っています。既製品をいくつも使った分、誰でも作れる設計となってます。
自分でもっと色々作れる方は、まだまだコストが下がりそう。
例えばフレームとか、ホースを分岐させる部品とかですね・・・このあたりは意外とお金かかってます。
水耕栽培装置の作り方
それでは作り方を解説していきます。ところで私、日頃からブログやツイッターで
- 野菜を沢山食べよう
- 野菜が無かったら自分で育てよう
みたいなことを発信しております。ということで、ぜひ読者の皆様にも室内水耕栽培にチャレンジしていただけると嬉しいです。
というわけで作り方を解説していきます。
ブルーシートを敷く


室内で水を使うということで、怖いのが水漏れ。念のためブルーシートを敷いておきましょう。
かくいう私も大きな水漏れ事故はないものの、ポタポタ水が落ちるような事態にはちょいちょい遭遇しております。
こんな感じに端の方を少し持ち上げて、お皿のような形にしております。ちなみに中身(型枠)はダンボールを入れているだけの格安仕様です。
フレームを組み立てる


ホースを支えるためのフレームです。これは床と天井のつっぱり棒タイプとなってます。
今回使った材料の中で、意外とこれが一番高いです。本当は水耕装置の方にお金をかけたいですが、もったいないお金の使い方だったかも・・・。
しかし良い材料が見つからないのも事実。
このあたり、DIYスキルが高いと自分で作れてしまうんだろうなーと考えつつも、今回は購入して試してみました。まぁ省スペースなのと長さの調節が効くので使い勝手は良きです。


こちらのタイプは組み立ても簡単でした。もともとはカーテンレールの製品なので、水耕装置で使わなくなったら本来の目的でも使えそうだなと。
野菜を植えるためのホース


現時点でネット上では、ホースに開けた穴に野菜を植えて水耕栽培しているケースは見つかりませんでした。
世の中には塩ビ管などのプラスチックを材料にしている水耕装置が多いですが、コストを抑えるためにホースを使ってみたのが今回一番のチャレンジです。
ホースに切れ込みを入れて、そこへウレタンに発芽した苗を挟み込みます。ホースの中を養液が流れる(落ちる)のですが、植物はウレタンから根を伸ばして吸収するわけです。
結果的には軽量化できたのとコストも抑えることができました。
ただし、根の状態を見ると良いとは言えず。茶色くて根量も少ない感じです。空気に曝しているのでイケるかなと思ったのですが、酸素不足のような状態になってます。


排水部分の塩ビ管


全体としてホースを使った水耕装置にしたわけですが、排水部分は塩ビ管を使っております。構造上どうしても支えなくてはいけなかったのですよねー。
ホースから排水される養液を受け止めて、タンクへ送るために使います。
塩ビ管には色々と規格があるわけですが、径は40が丁度よいかなと思います。チーズ(T字)とエルボ(L字)、接合用のパイプが必要です。
パイプを切ってチーズやエルボを繋ぎ合わせるわけで、接着剤を使う必要はありません。ただはめ込むだけで使えます。
パイプはのこぎりでも切れますが、特に私のような初心者さんにはパイプカッターがあると便利です。


塩ビ管はホームセンターで買うのが良いです。
塩ビ管を支える台


これは何でも良いです。塩ビ管を支えるための台ですが、タンクに合った高さの台を購入して、塩ビ管を固定するとかでもOKです。
今回は木材がいくつか余っていましたので、ボンドで接着して作ってみました。
でもホントに何でも良いです。
養液タンク


これも養液を貯めておける強度があれば何でもOK。
発泡スチロールが安かったので購入しましたが、発泡スチロールだけだと水が滲み出てくることがあるので注意です。内袋を使ってますが、それでも滲み出てきます。
写真には写ってませんが、内側にさらに防水シートを貼り付けています。
少し高くてもプラスチック製のものが良いかもです。容量は30L~40Lもあれば十分かと。1週間以上放ったらかしても養液が空になることは無いと思います。
ポンプ


ポンプは装置の根幹であり大事な部分でして、買うポンプを間違えるとまともに養液が循環しない。みたいな状況に陥ることも。
かくいう私も今回使ったポンプに落ち着くまで、別のポンプを2つ購入して失敗しております。
どういう失敗をしたかというと、「揚程(水を引き上げる高さ)や水量が足りなかった」というもの。仕様を見たうえで、いけそうだと思ったのですがダメでした。
設備的には実際に水を引き上げる高さは170cmほどなのですが、十分に余裕を見た能力のポンプを選んだほうが良さそうです。
- 吐出量1200L/H 最大揚程180cm
- 吐出量3000L/H 最大揚程300cm
今回購入したポンプのリンクはこちら。


買う前にポンプの情報を調べましたが、日本製の高価な製品を紹介しているサイトが多いのですよね。今回は中華製のポンプを購入してみましたが問題なく動いております。
日本製のものよりコスパ高くて良いんじゃないかと思うのですが、壊れやすかったりするんでしょうか。
そもそもポンプって、高い製品だとしても何年も使えるものではなさそうだしなぁ。
給液ホース&ホースの分岐ジョイント


養液はポンプを通して上部へと引き上げます。その際に野菜を植えるために使ったホースとは別のホースを使います。一般的にホースと言ってイメージするのはこちらのホースかと思います。
今回使用したのは、径が16mmと4mmの2種類です。
そしてホースを分岐させるためのジョイントも必要です。ポンプから送り出した養液は、野菜にたどり着くまで10本に分岐させることになります。
ホースは、ホームセンターの方が楽に手に入りやすいかもですなー。
以下のものはネットで購入しました。




その他必要なもの
水耕栽培の設備として必要なものは以上となります。
さらに、その他にもあると便利と思われるものをピックアップしておきます。
防水仕様の電源コード
ポンプ用の電源として。水を使ってますので念のため防水仕様で。


結束バンド


コスパ良く便利で最強ですね。至るところで使用してます。つけ外しできるタイプが良きです。リンクも貼っときますが、ホームセンターでも手軽に手に入ります。


反射紙


室内栽培は光不足が弱点。というわけで反射紙を使うと光量不足を補えます。耐水仕様のものがおすすめですが、光を反射できれば何でもOKかも。
野菜の後ろに設置して、窓から入った太陽光を出来るだけ多く野菜に浴びせましょう。


設置した後の注意点とか
上記の通りに設置した後は動かすのみですが、野菜を植えたり養液を管理したりも大事な部分でして、そのあたりもまた別途解説します。
こちらでは、設置した後の注意点をいくつか挙げておきます。
注意点というか見ての通りですが、まず窓をほぼ塞いておりますので室内に入る光が少ないです。
それでも野菜にとっては光量不足感がありますが、室内なので仕方なしです。
ちなみに我が家はカーテンも外して夜もノーガードとなりますが、窓全面を設備が覆ってますので外から室内は見えません。
まぁ設備の隙間からチラチラ見えますが、男の部屋に特に需要は無いと思われるので関係なしです。



光は野菜たちに浴びてもらいます!
ちょっと臭いはあります。ポンプでタンクの養液が循環しているとはいえ、雑菌が繁殖しているのでしょう。でも虫は全く沸いてないです。
- たまに養液を交換
- タンクの内袋を交換
臭いは以上2点で大分マシになります。
それと、使うポンプによっては駆動音が大きいものもあるかも。
ホースが外れたり、配管が破損したりを考えると水漏れの恐怖は感じます。ホースはしっかりと留めているはずですが、定期的にチェックもしています。
いざという時はペラペラのブルーシートが防波堤となります。
楽しいし、収穫した野菜を食べることができるのでやってみて欲しい
最後までご覧いただき感謝です。
この記事では、水耕栽培装置の作り方や注意点などを解説してきました。
日頃から「野菜をたくさん食べよう」的なことを発信している私ですが、野菜の調達方法として「自分の家で作る」ってことも推奨しております。
野菜の成長を見るのは癒やされますし、楽しいのでオススメです。そしてやってみると意外に簡単ですよー。
ヤサマガでは、『 野菜 × 健康 』をコンセプトに生活改善の情報を発信しています。他の記事もぜひ参考にどうぞ。
コメント
コメント一覧 (2件)
橋様 素晴らしい水耕栽培のご投稿ありがとうございます。ArduinoやRaspberryPiなどのコンピュータチップを使ってIoTを取り組んでいる関口と申します。
いつくかお尋ねしたいのですがお差支えなければお教え頂ければ幸いです。
1.水やりの管理
定時を決めて実施されていますか。例えば7時と19時とか
水量の管理はどうされていますか。
2.課題の整理と対応のご方針
(1)根に十分な酸素を行き渡させるためにどのようなことをご検討をされていますか。
(2)養液の質を保つために取り換え以外に考えられる方法はありますか。
水耕栽培に電子機器制御を取り込み、将来的には発育状況も管理できないかと考えております。もしご教示頂ければ幸いです。
関口様
コメントをありがとうございます。回答させていただきます。
・水やりの管理
>我が家では週1くらいのペースで少しずつ収穫(新たに定植も)するのですが、その際に養液作成(水やり)もついでにやってしまいます。ですので週1回のみです。
使っているタンクが40Lほどですが、タンク一杯に作ります。(減った分を作る感じです)
当然1週間の間で水量は減っていきますが、その間は基本的に放ったらかしです。
・根に十分な酸素を行き渡させるためにどのようなことをご検討をされていますか。
>循環式の水耕栽培ですと、循環するだけである程度は曝気されるため、酸素不足は避けられるかもしれません。ただし、水温などの影響もあるので設備次第なところも。
検討案としては、水中へのエアレーションや、根を空気中に晒す、とかになるかと思います。
では酸素不足かどうかをどう判断するかですが、我が家では「根の状態を見て良くなければ策を検討」という感じです。
・養液の質を保つために取り換え以外に考えられる方法はありますか。
>こちらは自動追肥などで養液を使い続けた場合、ということかと思いますが、これは施肥する肥料成分の調整で長持ちさせることは可能です。
長期間養液を使い続けた場合、野菜が吸収しなかった成分が養液中に残り続けることで成分バランスが崩れていきます。逆に言うと、野菜が吸収するバランスにピッタリ調整できればバランスは崩れにくくなります。
ただしこれも家庭でやるにはハードルが高く、養液成分の分析が必要です。
あとは、もともと水に溶け込んでいて吸収されない成分はどうしても残ってしまうため、これを取り除こうとすると浸透膜など使うことになり現実的でないです。
コストなど踏まえると、どうしても養液を取り替える選択肢が1番になりがちなのですよね。
発育状況というと、葉の写真を画像処理して葉面積から割り出す。みたいなものは耳にしたことがある気がします。なかなか未来感がありますが、そろそろ世に出てくるのでしょうかね~。