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植物が成長する仕組みをわかりやすく解説【光合成が10割】

  • 植物が成長する仕組みってどうなってるの?
  • 光合成ってどういうもの?
  • 光合成をよりパワーアップさせる方法はある?

こんな疑問をお持ちではないでしょうか。

こんにちは!橘 葱太郎です。TwitterYoutubeもどうぞ。

植物が「光合成」をしているってことは一般的に知られていて、皆さんご存知かと思います。

でも、植物は「何の目的で」光合成をしているかは意外と知らないのでは?結論から言うと、植物は自身の成長のために光合成をしています。

作物を栽培している私たちとしては、そのあたりも頭に入れておくと栽培への理解がより深まるわけであります。

というわけで今回の記事では、植物が成長する仕組みや光合成の仕組みについて解説していきます。できるだけわかりやすく、ということで専門用語はあまり使わずに書いてみました。

\水耕栽培の「知っておくと役立つ」って感じの記事をまとめてます/

目次

植物が成長するフロー

光合成の概念図

植物が成長する仕組みは意外とシンプルでして、ザッと図にまとめるとこんな感じ。

光合成の材料となる「光」「水」「CO2」はもちろんのこと、温度・湿度・風などの環境が整っていなければ光合成は進みません。

そして、植物体内の代謝の過程では、当然ながら各種肥料成分も必要とされるため、肥料も十分に与えてあげる必要があります。

必要な要素や環境が整っていれば光合成が行われて成長が進みます。つまり、植物を栽培する私たちとしては、光合成に必要な要素や環境が整うように管理をすると、植物たちが存分に光合成をしてくれるわけですな。

植物は光合成によって光のエネルギーを自身に蓄える

植物としては、太陽から無限に降り注ぐ光をエネルギー源として利用しているわけです。なので、光合成というのは光エネルギーを「利用したり、蓄える」ためのものってことです。

とはいえ植物体内では、数多くの化学反応の成果としてエネルギーを蓄積することができています。全体としてシンプルに見える光合成ですが、細かい部分を見ていくとその過程が複雑なんですよねー。

それでは光合成はどういった過程で進んでいくのかを解説していきます。ちなみに、過程や流れを全体的に理解できることを目的としているので、詳細は色々と省きます。

光合成全体の「流れ」を知っておくことが大事だよ!

というより光合成については、かくいう私も細かい部分はわからないことが多いですし、人類が解明しきれていない現象です。光合成は難しいです。

それでも野菜は育てられる!(笑)

ちなみに家庭でも、下の記事くらいの規模の水耕栽培ならどなたでもチャレンジできます。ぜひこちらも合わせて参考にしてみてください。

光エネルギーを使って、水を分解する

ではまずは、植物が光エネルギーをどう使っているか。ってところから解説します。

光合成ではいくつもの化学反応が連続して起こりますが、その始まりは何?というと水を「酸素」「水素イオン」「電子」に分解する反応です。

植物は光を利用しているわけですが、その役割は植物細胞内の「葉緑素」というものが担っています。

細胞内の葉緑体
葉緑体 出典:wikimedia

葉緑素が光を浴びると、光のエネルギーを使って水を「酸素」「水素イオン」「電子」に分解します。この反応が取っ掛かりとなって、その後の光合成が進んでいきます。

葉緑素-水の分解

ヤサマガ内では、繰り返し水と光が大事だと申しておりますが、そもそも水と光が足りないと、始まりの段階から光合成が進まないってことなんですよねー。

ちなみに植物にとって必要なのは、「水素イオン」と「電子」でして、不要となる「酸素」はそのまま空気中に排出されます。

水素イオンと電子は、糖を作るエネルギー源となる

植物は光合成の反応の中で糖を作り出すのですが、そのために使われるのが、さきほど水から分解された水素イオンと電子です。

正確に言いますと、水素イオンと電子がいくつかの化学反応を経た結果として、糖合成に行き着くという感じ。

ちなみに糖ってのは、学校の理科で習う「でんぷん」のことです。植物は光合成をしてでんぷんを作り出すんでしたね。

で、糖を作り出す際にもう一つ必要となるのが、空気中から吸収されるCO2です。植物は糖だけでなく様々な有機物も作り出していますが、そのために必要な炭素を空気中のCO2から得ているってことです。

ここまでを計算式の形で整理するとこんな感じになります。

  • 【水】+【光】+【CO2】→【糖】+【酸素

つまり、光合成を化学式で表すとこんな感じ。

  • 6CO2 + 12H2O → C6H12O6 + 6O2 + 6H2O

蓄えた糖を使って自身の体を成長させる

ここまでは、光合成で糖を作り出していく過程を解説してきました。

でも何のために糖を作って蓄えてるの?

そうですよね。「植物が光合成で糖を作る」ってところはイメージ通りですが、そもそも「何のために糖を作っているのか」も知っておきましょう。

糖の使いみちには2つありまして、

  • 糖を植物自身の体の一部に作り変えて、体を成長させるために蓄積する
  • その作り変えのエネルギー源としても糖を消費する

と、こんな感じ。

そもそも植物細胞の構成成分ってのは、糖から化学反応を経て作り変えたものなんですよねー。

でも、その作り変えを行うにもエネルギーが必要なので、エネルギー自体も糖から作り出しているってわけですな。

糖からエネルギーを取り出すには酸素が必要

蓄えられた糖からエネルギーを取り出す化学反応には「酸素」が必要です。ちなみにこれはヒトを含む動物と一緒ですよね。

動物が常に呼吸をしているのは、常に酸素を必要としているためです。植物も同じように常に酸素を必要としていて、昼でも夜でも呼吸をして酸素を取り入れています。

植物は酸素を「吐き出している」んじゃないの・・・?

はい、ここが少しややこしいですが、植物は光合成によって酸素を吐き出しています。と、同時に呼吸によって酸素を吸い込んでるのです。

まぁ酸素の量としては光合成で吐き出すほうが圧倒的に多いので、外から見ると酸素を吐き出しているように見えるわけです。

植物が呼吸によって常に酸素を必要としているのは、動物同様に常にエネルギーを使うからです。なぜなら、植物体の組織を作る以外にも、根からの養分吸収、植物体内での転流、など色々なところでエネルギーを消費しているからです。

昼間だと光合成によってエネルギーを生産できるので良いのですが、夜間はもちろん光合成をしていません。ですので夜間は、昼間の光合成で蓄えたエネルギーを使うしかないというわけです。

ちなみにここまでの解説で、根から吸収するミネラルなどの肥料成分の説明は省いてきました。しかし当然ながら肥料成分も光合成には必須のもので、植物体内の各所で起こる化学反応で使われています。

この記事では、光合成の「全体の流れ」を解説することを目的としております。肥料成分の説明が加わると複雑になりますので別の機会に・・・。

光合成の材料を欲しいだけ与えてあげるのが栽培管理

ここまでは光エネルギーの吸収が起点となって、植物は糖を作り出して成長する。ってことを解説してきました。

ではそこを踏まえまして、作物を育てる我々としては何をしてあげると良いかってところがポイントとなってきます。

要するに、作物を成長させるには光合成がどんどん進むようにしてあげると良いわけで、そのためには光合成の材料となるものをどんどん与えましょう!ってことになります。

植物が活用できる最大量を与えてあげると、光合成効率も最大に!

で、おさらいしておくと、光合成の材料となるものは「水」「光」「CO2」でした。これらをどれくらい与えると良いの?ってところを解説していきます。

光が強くなるほど光合成速度はアップする

まずは光に関して。

基本的に光が強くなるほど植物の光合成速度はアップします。なので、たくさん浴びせてあげると良きです。

ただし、ある程度の強さになると光合成は増加しなくなります。でもベストな光の強さはどれくらい?ってのは一概には言えないところ。光合成速度には、光以外の要因の影響も絡むからです。

例えばCO2濃度が低い場合、どんなに光を浴びてエネルギーを作り出したとしても、CO2を吸収できないために糖が産出できない。ってな事態にも。

以下の図を見ると、光の強さ(横軸)が同じ場合でも、CO2濃度が低いときには光合成速度(縦軸)が低いことがわかります。

光合成速度-CO2濃度-PPFD
品種「とちおとめ」CO2濃度400ppmと1000ppmでのPPFD-光合成曲線 https://doi.org/10.1626/jcs.79.192

そして光の強さだけでなく、光を浴びる時間も関係します。当然ながら時間が長いほど光合成も増えるのですが、光を多く浴びすぎるのも問題があります。

多すぎる光は処理しきれずに、植物にとってはダメージとなる場合もあるんですよねー。

ダメージが深刻とならない範囲内で、できるだけ浴びる光の量を多くしたいところです。

バランスが大事だよ!

人工光栽培だと、コストも踏まえて照明を使う必要あり

強い光を長時間使うのがベストとは限らない、ってところは上記のとおりです。これが植物工場のような人工光栽培の場合ですと、光を使えば使うほど電気代が増加します。

光合成が進まずに生育が遅いけど電気代は高い。みたいな踏んだり蹴ったりな状況もあり得るわけです。

多段式で人工光を用いた植物工場だと葉物野菜の栽培が多いですが、光量を多くして生育を早めすぎるとチップバーンなどの生育障害が起きることも。

チップバーンも上記で解説したような、多すぎる光を処理しきれずに植物がダメージを受ける現象です。

なので、「光の強さ」と「時間」を調整して光合成の効率化をしつつも、できるだけコストをかけずに済む方法を考えていくべきなんですよねー。

ちなみにかけるコスト当たりの光合成量を可能な限り増やそうとするなら、「光は弱め+時間を長め」ってのが良いかもしれません。

そのあたりのことは過去にも書いてますので、こちらの記事もどうぞ。

CO2は植物にとって唯一の炭素源

次はCO2に関して。光と並び、植物にはぜひとも好きなだけ取り込んでもらいたいのが、このCO2です。

好きなだけ吸ってくれ!


というのも、植物にとって炭素を摂取できるのは唯一CO2からのみとなっております。なので、CO2が吸い込めないと全く成長できません。

植物体を構成する元素でも、最も多いのが炭素(C)なんですよねー。

元素名元素記号平均含量
炭素C45.4%
酸素O41.0%
水素H5.5%
窒素N3.0%
カルシウムCa1.8%
カリウムK1.4%
硫黄S0.3%
マグネシウムMg0.3%
リンP0.2%
被子植物の構成元素一覧

よく肥料の3要素として、窒素(N)、リン(P)、カリウム(K)が挙げられますが、元素の構成比を一覧にしてみると実は炭素(C)が最も多いのです。これも見るとCO2の重要っぷりがわかって頂けるかと。

炭素の含量は45%なのに対して、他の各種肥料成分は数%以下。と、大きな差があるわけです。

植物は大気よりも高いCO2濃度を好む

植物にとってCO2の吸収が大事ってことはわかっていただけたかと思います。

じゃあどれくらいのCO2濃度があれば良いのよ?

はい、そこがポイントですよね。

ちなみに地球上のCO2濃度は知っての通り年々変化しております。2020年では413ppmだそうです。地球上の植物は、413ppmのCO2濃度の中で生きているわけです。

でも実は、もっと高いCO2濃度のほうが植物の生育が活発になることがわかっています。

光の強さにもよるのですが、CO2濃度が高くなるほど光合成速度は増加します。だいたい1000ppm前後までは比例して増加し、それ以上の濃度でも緩やかに増加していきます。

そのためハウスや室内栽培の場合だと、CO2を追加で与えてハウス内を大気中よりも高いCO2濃度に維持し、光合成を早めることがよく行われております。

植物はいくつかの目的のために、水を大量に消費する

この記事では冒頭より、光合成では光エネルギーを使って水を分解するということを解説してきました。

そして植物にとって水は分解するためのものだけでありません。一部の水をCO2と同じように吸収し、自らの体の一部とします。というわけで、水も植物にとっては無くてはならない存在です。

うまく「水」をコントロールすることが栽培のコツ

さらに他の目的でも水を必要とします。植物はCO2を取り込む際、葉の気孔から水を蒸発させています。これは蒸散といって、植物の成長には欠かせない現象です。

開いた状態の気孔と閉じた状態の気孔
開いた状態の気孔(左)、閉じた状態の気孔(右) 出典:wikimedia

特筆すべきはその量。植物が蒸散を行う水量は、光合成で分解される水の200倍以上にもなります。そして、出ていった分は吸収しなきゃいけないわけです。吸収する水の量もものすごく多いのです。

植物は毎日多くの水を排出し、また吸収する必要があるということです。利用できる水が無くなると、植物はすぐに枯れてしまいます。

とはいえ水耕栽培の場合だと水は根の周辺にいくらでも存在しているわけで、養液環境が正常である限り水不足になる心配はありません。

光合成を効率化する補助的な要因

直接的に光合成の材料となるものは、「水」「光」「CO2」でした。ここから先は、それ以外について。

光合成は複雑な過程であり、影響する要因は他にもいくつかあります。

そういった補助的な要因によっても光合成効率は変化します。ここからは、そのような光合成に関わる補助的な要因について解説します。

光合成の反応は温度次第で活性化できる

記事冒頭より、光合成ってのは「化学反応の集まり」だと解説してきました。光のエネルギーも化学反応を起こすためのエネルギーとして使われるわけでした。

で、化学反応ってのは温度が高くなると活性化します。これも限度のあることですが、気温30℃くらいまでは光合成速度が早まるようです。とはいえ高すぎると生育障害のリスクもあって注意は必要。

逆に低温だと光合成はダウンします。光をたくさん当てても光合成が進まない。みたいな状況もありうるわけですな。

このあたり、温度は作物によって適正値に差があるので、栽培する作物に合わせて調整してあげると良きです。

レタスの場合、光・気温・水温の変化でどんな影響があるの?ってところは、別途記事にしております。こちらも参考までに。

湿度によってCO2が取り込めない可能性がある

次は湿度に関して。

湿度が低く乾燥しすぎているとき、植物は葉の気孔を閉じることで、水分が外に出ていくことを防ごうとします。

この気孔ですが、蒸散による水分の通り道であると同時に、CO2を吸い込むためのルートでもあります。気孔が閉じてしまうとCO2が出入りするルートも無くなるわけです。

光合成の材料となるCO2が取り込めなくなるので、光合成にも悪影響となります。乾燥のしすぎは良くないということです。

とはいえ作物にとって快適な湿度であったとしても、光合成が早く進むというわけではなく、条件が悪いと光合成が止まってしまうという感じ。

気をつけたいのは、「蒸散を止めない」ように湿度をコントロールするってところになります。

空気の流れがあるから葉は空気交換ができる

光合成にとって「CO2吸収」と「蒸散」が大切だってことは記事の中で繰り返し書いてきました。でも、そもそも葉の周囲の空気が動いていないとどちらも成立しないんですよね。

というのも葉からCO2が出入りすると、葉の周辺にだけCO2濃度が低い膜のような空間ができます。水分も同様です。葉の周辺の空気が滞留している状態ですな。

もし空気の流れ(風のこと)が全く無かった場合、そのような膜が残り続けるために葉からの空気の出入りにも支障が出ます。

当然、CO2吸収や蒸散が抑制されてしまうことになるので、空気を動かしてあげることが重要だったりします。

屋外で栽培する場合は風が吹くので良いのですが、屋内だと植物周辺の空気を動かすって意外と難しいんですよね。シンプルにファンを設置するくらいだと、開けた空間に風は送れても、植物の周囲には届かなかったりします。

特に葉物野菜に起こるチップバーンには、葉で囲まれた中心部の新芽への送風が必要になります。まぁ特殊な装置を設置するとコストもかかるわけですが。

植物上部から空気を送り込む機構の記事は以前にも書いてますので、こちらも参考にどうぞ。

まとめ、光合成の大事なポイントを覚えておきましょう

最後までご覧いただき感謝です。

この記事では、「光合成ってどういうものか」「光合成をよりパワーアップさせる方法」を解説してきました。

まとめると、作物を栽培する我々として覚えておきたいのはこんな感じです。

  • 「光」「水」「CO2」は切らさずに必要な量を与えよう
  • 適切な温度で光合成効率アップ
  • 湿度がイマイチだと光合成もイマイチ
  • 強すぎない風も必要

植物を育てるには大事なポイントなので、覚えておくと良いですよー。

ヤサマガでは、水耕栽培に関する知識や技術を発信しております。他の記事もぜひ参考にどうぞ。

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