これまでヤサマガでは、植物や野菜、栽培方法、水耕栽培など、いくつもの文献や研究を紹介してきました。
こちらの記事では、そんなたくさんの研究を下記のような分類でまとめてみました。
- 栽培環境が植物へ与える影響は、「どんなものか」を調べた研究
- 「野菜の収穫量を増やす」「生産効率を高める」栽培方法を調べた研究
- 収量や生産効率以外のプラスな効果を調べた研究
- 野菜栽培の設備について調べた研究
けっこう数も多いですので、ぜひ目次からどうぞ。
目次
栽培環境が植物へ与える影響は、「どんなものか」を調べた研究
植物の体内リズムをコントロールすることで、どんな影響があるか
- まだ解明されていないことも多いようですが、生育速度を安定化させたり、特定の成分量をコントロール、みたいなことができそう。
野菜の保存中に「温めたり」、「冷やしたり」すると、どんな影響があるか
- 保存のストレスに対して、ストレス回避のために生理機能をパワーアップ。栄養価が増えたり、味が良くなったりする可能性あり。
栽培している途中に飽差が変動すると、どんな影響があるか
- ロメインレタスを用いた実験。
飽差が変動すると植物は敏感に反応する。栽培を安定させるなら、「飽差は一定」が良さそうです。
水と養液を継ぎ足しながら栽培する循環式は、生育に影響するのか
- 養液を継ぎ足して使い続けると、植物に吸収されずに残る成分が蓄積し、生育は悪化していく。
解決策は、「養液を取り替える」ことと「成分を除去した濾過水を使う」
養液のECとpHを調整するだけで、ほうれん草の病気予防はできないか
- 近年pHを下げることによる病気予防が試されているが、生育が悪化するのが問題点。
「ECを高めることで生育をそこそこキープできた」という感じの結果です。
「野菜の収穫量を増やす」「生産効率を高める」栽培方法を調べた研究
積算光量が同じなら、「強光を短時間」と「弱光を長時間」、どちらの生育が良いか
- レタスと水菜の実験。「弱光を長時間」の方が収穫量が多かったとのこと。
植物工場などで人工光を使っている場合だと、「照明コストも抑えられて一石二鳥じゃん!」てな感じの結果です。
植物は光を浴びて育つ。じゃあ24時間当て続けたら、育ちまくる?
- レタスを用いた実験。24時間の光だけでなく、高濃度のアンモニア肥料も使って活路を見出そうとしています。
レタスの含有成分には様々な変化が見られてますが、肝心の収量には明確な差が見られず。
窒素肥料の硝酸とアンモニアは、どれくらいの比率で使うと収量を増やせるか
- 洋種ナバナを用いた実験。まず、どちらか片方ではなく混ぜて使うのが良い。
最も結果が良かったのは硝酸:アンモニアが5:5の場合。ただし、pHコントロールの必要ありです。
少ないエネルギーで多くの収量となる、コスパの良い栽培環境ってどんなの?
- レタスを用いた実験。
気温:24度、水温:28度がベスト。光の強さと収量は比例しますが、利用効率的にはPPFDが200(μmol/m2/s)が良さそうとのこと。
植物に与える光のコストを減らしつつ、収量を最大化するにはどうしたら良いか
- レタスを用いた実験。
1日あたりの光量が同じであれば、「弱い光」で「光の浴びる時間が長く」した方が光合成は効率化した。
チップバーンを抑えつつも、最大のスピードで栽培するにはどうすれば?
- レタスを用いた実験。
レタスの中心部に風を送り込むとチップバーンは解消される。あとは光量や気温が高いほど、生育スピードが上がる。
野菜の「成長スピード(RGR)」に影響がある栽培環境は?
- レタスとほうれん草を用いた実験。どちらも光・養液温度・硝酸塩濃度がRGRに影響していた。という結果に。
ただし作物により、どの栽培環境の影響をより受けやすいのかに差がありそうです。ちなみにレタスでは光、ほうれん草では養液温度と硝酸塩濃度の影響が大きかったとのこと。
収量や生産効率以外のプラスな効果を調べた研究
発芽率や苗の揃いを良くするには、種子に対してどんなことをしたら良いか
- ダッタンソバの種子を用いた実験。
「種子を水温20℃~25℃で、3時間以上の吸水をさせる」のが良さそうで、発芽率の改善や生育の促進に繋がるとのこと。
レッドリーフを赤く色付けさせたいとき、光の波長を変えると効果はあるか
- レッドリーフの「ロウサイ」という品種を用いた実験。
生育途中の光質変更には葉を赤くする効果ありだが、生育初期の影響は少ない。生育中は白や赤の光でガンガン育てて、収穫前だけ青の光を当てると赤く色づく。
レタスのチップバーンは、ECとpHをコントロールすることで無くせないか
- ECが低いほどチップバーンは少ない。が、収量も少ない。
pHは実験した範囲内(5.8~6.4)では差が見られず。
レタスの栄養価を高める栽培方法はあるか
- 収穫前の数日間、養液から水に変更することで色々な影響がありました。
大きさは増加しないが、GABA、アルギニン、BCAAなどが増加。水で栽培する日数が長いほど影響が大きいという結果に。
野菜栽培の設備について調べた研究
どのような設備ならピンポイントで風が当たる気流を作り出せるか
- 実験で使用したどのモジュールでも、野菜に対する影響は同じくらいだった。
循環式水耕栽培にはポンプが必須だが、ポンプは養液に影響を与えるのか
- 実験で使用したポンプは、どのポンプでも養液に変化は無かった。しかし、水温の変化には注意。
紫外線殺菌を行うと鉄の成分に影響を与える。
これからも文献紹介を続けていきます
最後までご覧いただき感謝です。
植物のことは解明されていないことがまだまだありまして、私自身も日々勉強中。ブログ内でも文献紹介は続けていきます。
ヤサマガでは、水耕栽培に関する知識や技術を発信しております。他の記事もぜひ参考にどうぞ。
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