植物が育つスピードは環境によって変わるのですが、早く大きく育ってくれると嬉しいもの。
で、成長スピードのことはRGRと呼ばれていまして、今回の実験はそんなRGRがテーマ。
RGRは作物の種類、生育段階、環境変化から影響を受けます。ただ、影響を受ける要因が複雑で、わかっていないことも多いです。
とはいえ、生産効率UPのためにRGRは大切でして、今回の実験では、
レタスとホウレンソウの場合、RGRに重要なポイントはなに?
ってところを分析してくれてます。
まぁ結論としては、どちらも「光・温度・養液が大切」っていう当然な話になってます。
ただ、レタスとホウレンソウでは微妙に優先順位が違うっぽいんですよねー。
作物ごとに、「これは特に重要!」ってポイントは押さえておきたいですな。
今回参考にした文献はこちら
RGRってのは、作物の「成長スピード」のこと

ちなみにRGRってのは、
作物の1日あたりの重量増加を示すもので、大きいほど成長スピードが早い
というものです。
要するに、一定期間で重さがどれくらい増えたか。ってことを表してます。
で、RGRを気にする意味ってのが、成長スピードが早いほど生産効率が高まるからですな。
なので高い状態を維持するように努めたいところ。
レタスとほうれん草のデータを比較する

実験では、レタスとほうれん草を別の時期に栽培。
収穫した際に新鮮重量、乾燥重量を含めて色々とデータを測定し、RGRを算出したわけです。
栽培期間中の環境は以下のような感じ。
水耕栽培システム
- NFT
設定温度
- 17℃~22℃
- ファンで空気を循環
養液循環
太陽光の強さに応じて、以下のサイクルで3分間
- 5分
- 10分
- 20分
収穫までの期間
レタス
- 2~6週間
ほうれん草
- 夏は3~4週間
- 秋は5~8週間
RGRは、特定期間中の重量増加量です。
集計方法としては、時期に応じて収穫前4~9日間の重量が用いられたとのこと。
似た結果ではあるが、作物によって優先順位が違うっぽい

それでは結果です。
栽培環境と生育結果のデータを分析して、RGRと相関性の高い変数を探そうとしています。
ちなみに結果の中で出てくるNDLIってのは、光量を収穫時の葉面積指数で割ったものだそうです。
つまり、値が大きいほど葉に多くの光が当たるってことですな。
まずはレタスの結果です
RGRへの影響が大きい環境因子としては、
- NDLI
- 養液温度
- EC
- 硝酸塩濃度
だったとのこと。
そのうちNDLIの影響が最も大きく、次に養液温度、ECと硝酸塩濃度の影響は小さかったようです。
そしてほうれん草
RGRへの影響が大きい環境因子としては、
- NDLI
- 養液温度
- 硝酸塩濃度
だったとのこと。
そのうち、養液温度の影響が最も大きく、NDLIと硝酸塩濃度は小さかったようです。

レタスとほうれん草の結果から、作物ごとの特色がわかる

冒頭で書いたように、
レタスとホウレンソウのどちらも、光・養液温度・硝酸塩濃度が生育へ大きな影響を与えていた
という結果に。
これはまぁ妥当な結果かなって感じです。
ところが、レタスとほうれん草を比較したって所がポイント。
ほうれん草ではレタスよりも養液温度の影響を受けやすいようです。
これについて研究チームによると、
これは、ホウレンソウの糖代謝に温度が影響しているためと考えられる
とのこと。
そして、ほうれん草は硝酸塩濃度の影響もレタスより大きいようです。
つまり整理すると以下のような感じ。
- レタスとほうれん草のどちらも、光・養液温度・硝酸塩濃度の影響を受けていた。
- レタスでは光の影響が大きく、ほうれん草では養液温度と硝酸塩濃度の影響が大きい。
ただし実験では、気温と養液温度が独立した環境ではなかったり、湿度が計測されていなかったりと、もっと細かく分析する余地は残っている感じ。
でも作物ごとの特色が見えてくるのは面白いなーと思います。
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