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【養液栽培】pHとECの調整だけで水耕ほうれん草の病気予防はできるか

ホウレンソウはピシウム属菌に感染しやすいとされています。

そのため、水耕栽培業者に敬遠されて、あまり栽培されないという説も。

たしかに病気の予防策自体は存在しているものの、完璧といえる解決策はこれといって無いんですよね。

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で、今回のテーマは、pHとECについて。

養液のpHとECを調整するだけで、病気予防はできないか?

という実験になってます。

比較的コントロールしやすいpHとECですので、これだけで病気予防ができると嬉しいんですけどねー。

ただ、低pHでピシウム菌の増殖が抑えられることはわかっているものの、下げすぎると生育に悪影響があることも。

そこが悩ましいんですよねー。

今回参考にした文献はこちら

目次

低pHによる生育悪化を防ぐ方法があるかも

じつは最近は、pHを下げることによる病気予防がいくつか試されています。

そして、pHで生育が悪化するとして、その影響には2つのパターンが考えられます。

  • 低pHが直接根に悪影響を及ぼした
  • 低pHによって栄養素の吸収効率が低下した

という感じ。

どちらであるかの判断は難しいのですが、可能性としてはどちらかだろうと思われます。

そこで研究チームとしては、

pHが低いと栄養吸収が悪くなり生育に悪影響を与える。
そこでECを高めることで特定の栄養分の吸収を補い、通常よりも低いpHでホウレンソウが生育できる。

という仮設を立てつつ、実験が行われたわけです。

つまり、pHを下げて病気を予防しつつ、ECを高めて生育は維持しよう。というわけですな。

pHとECを変化させて、ホウレンソウの生育を分析

で、実験は以下のような感じ。

まずは、ホウレンソウ「Corvair」の種子をロックウール培地に播種。その後、移植してから実験スタートです。

実験での養液処方は、「アリゾナ大学葉菜類養液レシピ」なるものが使われております。

日本でよく知られている処方いくつかと比べてみたのですが、あまり似たものが無いですね。比較的カルシウムが多め、って感じの処方です。

で、実験ですが、大きく2つに分けて行われています。

実験1.pHを変えて検証

まず1つ目が、pHだけ変えて、ホウレンソウの生育と栄養素の吸収効率を分析。

pHの条件は4パターン。

  • 4.0
  • 4.5
  • 5.0
  • 5.5

実験2.pHだけでなく、ECも変えて検証

2つ目が、pHに加えて、さらにECも変えてみた実験。

それぞれの条件としては、

pH

  • 4.5
  • 5.5

EC

  • 1.4
  • 3.4

ホウレンソウの生育は、pHとEC、いずれの影響も受けるようだ

それでは実験結果です。

順番に見ていきましょー。

pHを変えると、やはりホウレンソウの生育に影響あり

まずpHの影響から。pHを下げて検証した項目は以下の5つ。

  • 地下部重量(新鮮)
  • 地上部重量(新鮮)
  • 地下部重量(乾燥)
  • 地上部重量(乾燥)
  • 葉数


上記、全てpHが5.5から4.0と低くなるにつれて減少したようです。やはりpHが下がると生育に影響が出るようです。

ただし、4.0と4.5以上では影響に差があって、

  • 4.0では葉が黄色くなり、植物組織そのものに悪影響が出た。
  • 4.5以上だと、形態は変わらずシンプルに小さかっただけ。

この差について研究チームによると、

pH4.5までの生長阻害は養液成分の吸収不足が要因では。でもpHがいくつから影響が出るのかは品種による。

とのこと。

pH4.5までなら、養液成分を工夫することで生育を改善する余地がありそうってことですね。

まぁ品種次第かもですが。

pHは葉の含有成分(肥料吸収)にも影響を与える

実験では、葉の含有成分についても検証されています。

pHを下げることで影響があった成分が以下。

含有量が増えた or 変化が無かった成分

  • Ca
  • B
  • Mo
  • Na

含有量が減った成分

  • N
  • P
  • K
  • M
  • S
  • Cu
  • Fe
  • Mn
  • Zn


含有量が減った成分には、KやMgなどの陽イオンが多いです。低pHだと陽イオンの吸収が阻害されたってことですな。

一方、陰イオンのN、P、S。

これらも含有量が減っていますが、こちらは低pHによって直接根に与えたダメージと関連しているようです。

pHだけでなくECによっても影響を受ける

まず、pHとECの条件を整理しておきますと、以下の4パターンってことになります。

pH / EC

  • 4.5 / 1.4
  • 4.5 / 3.4
  • 5.5 / 1.4
  • 5.5 / 3.4

で、結果として見えてきたのは以下のようなこと。

pHが標準(5.5)だと、ECを高くしても生育は変わらない

これは、栄養成分的にはEC1.4で十分だし、EC3.4でも多すぎるわけではないし。

つまり、どちらのECに関わらず、問題なく養液を吸収していた。ってことですな。

2.低pH(4.5)だと、ECを高くすると生育が改善する(でも標準phよりは悪い)

葉の含有成分量はEC増加でかなり改善するようです。

ただし、バランスが悪くてCaが吸収過多かも。

低pHと高ECは効果が期待できそうだけど、改善余地あり

というわけで、

低pHによって悪化した生育を、ECを高めることで補えるか?って仮説ですが、

ホウレンソウの生育はそこそこキープできた。

って感じの結果に。

栄養成分の吸収バランスが悪くなっているので、そのあたりに改善余地があるかもしれません。

研究チームとしても、

個別の栄養素濃度をさらに最適化して、低pH下での栄養素の取り込みについてより深く理解する必要がある。
これにより、低pHでも成長を大きく低下させることなくホウレンソウを栽培できるようになり、低コストの病害防除の手段として期待できる。

と締めくくっております。

ところで、肝心のピシウムをしっかり予防できていたのかどうか気になるところですなー。

ヤサマガでは、水耕栽培に関する知識や技術を発信しております。他の記事もぜひ参考にどうぞ。

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