今回ご紹介するのは、レタスの成長速度とチップバーンに関しての文献。
この2つ、切っても切れない関係でして、生産者を悩ます筆頭株となってます。
チップバーンが起きる原因は、新芽へのカルシウム供給不足。そして、蒸散を促すことで改善されることは知られております。
で、今回の実験で検証されているのが、
チップバーンをなんとか防ぎつつ、成長を早めまくったらどうなる?
というもの。
植物にエサをガンガン与えつつ、ムチ打ちながら太らせたという感じでしょうか(笑)
2004年の文献のため、LED登場前につき高圧ナトリウムランプが使われています。
ちょっと古めですが、面白いのでご紹介。
今回参考にした文献はこちら
比較されたのは、温度、光、空気

実験では、CO2濃度と光周期は固定されていて、こんな感じ。
- CO2:1200ppm
- 周期:(明期)16時間 / (暗期)8時間
で、実験では2つのことが検証されていて、
1つ目が「気温を変えてみる」と、2つ目が「光の強さ、エアレーションの有無を変えてみる」です。
条件をいくつか試したうえで、収量やチップバーンの状態が確認されております。
気温を変えてみて、生育を比較
こちらの実験では、気温を変えてみて、生育への影響を検証しています。
検証されたパターンは以下のとおり。
気温(℃) 明期 / 暗期
- 23/18
- 26/21
- 29/24
- 32/27
- 35/30
レタスの適温から、かなり高い温度まで試した感じですね。
光の強さ、エアレーションの有無で、生育を比較
そして、もう一つの実験。
光の強さ、エアレーションの有無が検証されています。
設定された条件はこんな感じ。
PPFD(μmol-m-2-s-1):
- 500
- 1000
エアレーションの有無:
- レタスの中心部に空気を当ててみる


条件を組み合わせると…。ただし実現は…

それでは結果を見ていきましょう。
気温の差で比較すると
- すべての温度でチップバーンが発生
- 光の吸収量、炭素増加量は、27℃と30℃の設定が良い
チップバーンをいったん忘れて、できるだけ大きくしようとすると、27℃~30℃くらいが良いってことですかねー。
光の強さとエアレーションの有無で比較すると
光量の変化
- PPFDを500から1000まで増加させると、収量は比例して増加
エアレーションの有無
エアレーション有りだと:
- チップバーンはほぼ発生しない(無しだと重度のチップバーンが多数発生)
- 新鮮重量が増加するが、乾燥重量は同程度
エアレーションがあると、新鮮重量が増加するのに、乾燥重量は同程度ってのは面白いですな。
チップバーンが発生していても、乾燥重量は変わらずに増え続けるってことなんですねー。
ただ、新鮮重量の方は、チップバーンが発生するとあまり伸びなくなるという。
チップバーンの発生した新芽で乾燥重量が増やせなくても、古葉の方で重量を蓄積したということですかね。
空気を当てることが、チップバーンを抑えるのに有効だが、設備が問題
というわけで、
エアレーションでチップバーンさえ解消されると、光量や気温が高いほどレタスの生産性は高くなる。
ってことがわかりましたね。
エアレーションによって無理矢理育てることが可能ということでしょうか(笑)
とはいえ、レタスの中心部にピンポイントで空気を送り込むのは、普通は難しいわけです。
この実験で用いられた設備も特殊なものですしね。
でもまぁチップバーンを抑える方法が無くはない、ってことを知る意味では参考になるかと!
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