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水耕栽培レタスのチップバーン対策として、ECとpHで抑制【植物工場】

作物が短期間でたくさん収穫できたら嬉しいですよね。

生産者はなんとか生産効率をアップさせようと、試行錯誤しているものです。

\野菜の栽培に役立つ知識をまとめてます!/

ただし、頭の痛い問題も。

生育を急ぎすぎると出てしまうのがチップバーンです。チップバーンというのは、葉のカルシウムが足りなくなることで起こる生育障害です。

と言ってもカルシウムを多く与えると解決するかというと、そうシンプルではないのが難しいところ。

今回はチップバーン対策についての実験を紹介しますが、

レタスのチップバーンは、ECとpHをコントロールすることで無くせないか?

ってところを検証してくれてます。

植物工場だと、ECとpHは比較的コントロールしやすいです。チップバーンに有効なら、ぜひ活用したいところ。

また実験では、塩化カルシウムの葉面散布についても検証しております。

カルシウムが足りないなら直接葉に吸収させてしまえー。

と、いうことでしょうか。

まぁ閉鎖型の施設だと難しそうですが、そういうこともできるんだなーということで。

今回参考にした文献はこちら

目次

チップバーンは葉が黒くなる障害

チップバーンとは葉の中心部が黒く焦げたような状態になる障害です。

そもそもチップバーンは、

葉へカルシウムの供給不足によって発生する

と言われています。

ただ、そうなってしまう原因が複雑でして、考えられるのは、

  • 温度
  • 湿度
  • 気流
  • 養液

など。特定するのが大変なんですよねー。

特定できたとしても、そういった栽培条件は設備に左右されることも多く、コントロールが難しいところ。

とはいえ、短期間で大きく育てようとすると発生しやすく、栽培とは切っても切れない間柄となっております。

チップバーンの対策としてEC、pH、葉面散布を検証する

それでは実験方法です。

実験に用いたレタスは以下の3品種です。

  • グリーンバター
  • レッドバター
  • レッドオークリーフ

播種から3週間は、3品種とも同じ条件で苗作り。

その後、移植してから比較検証スタートです。

条件を変えて比較

まず、気温、湿度、日数の条件から。これらは共通で、以下のとおり。

  • 平均気温は、24±0.8℃(最高37.0℃)
  • 平均相対湿度は、72±2%(最大96.5%)
  • 日数は4週間

で、検証されたのは、「EC」、「pH」、「葉面散布」の3つに関してです。

ECの実験

ECの条件を変えて、4パターンで比較。

pH

  • 5.8

EC(単位はmS-cm-1)

  • 1.4
  • 1.6
  • 1.8
  • 2.0

pHの実験

pHの条件を変えて、4パターンで比較。

pH

  • 5.8
  • 6
  • 6.2
  • 6.4

EC(単位はmS-cm-1)

  • 1.8

塩化カルシウムの葉面散布の実験

チップバーンに弱いと言われる「グリーンバター」のみ使用。

pH:5.8、EC:1.8に固定。

使用した塩化カルシウム処理剤の濃度は以下のとおり。

塩化カルシウム(単位はmg/L)

  • 200
  • 400
  • 800

これを週2回葉面散布しています。

チップバーンを抑えながら、成長を早めるのは難しいこと

それでは実験結果です。

全体の結果をシンプルにまとめると、

成長速度が遅くなった栽培環境では、チップバーンも少なかった

と、当たり前やん!な事実を再確認する形に。

とはいえ、栽培管理で気を付けておくべき教訓もいくつか見えてきております。

ECとpHのコントロール、葉面散布の実験でわかったこと

というわけで、3つの実験ごとに見えてきた傾向を整理します。

EC変化による影響

  • 新鮮重量も乾燥重量もEC1.4が低い。(おそらくECをさらに下げると、もっと重量が落ちる)
  • ECを上げると重量が増加するが、1.8以上では変わらない。(レッドオークの乾燥重量のみ、ECを変えても変化が少ない)
  • チップバーンは「グリーンバター」でのみ発生。
  • チップバーンはEC1.4で少なく、1.8で最大。2.0になるとまた少なくなる。
  • 葉中の窒素、リンの量はEC1.8付近で最大。
  • 葉中のカリウム、カルシウム量はEC1.6までは増加したが、それ以上では同程度。

pH変化による影響

  • pH5.8~6.4まで変化しても、新鮮重量や乾燥重量への影響は少ない。
  • チップバーンへの影響にも差がない。
  • 葉中の栄養成分は、どれも概ねpHが高くなるごとに低下。(窒素と硫黄は6.0までは増加)

塩化カルシウム葉面散布による影響

  • 葉面散布量が多くなるほど、新鮮、乾燥のどちらの重量も低下。
  • 施用量が0から400mg/Lまではチップバーンの発生が低下。それ以上では変化なし。

チップバーンの画期的な対策とはならず

結論として整理すると、以下のような感じかと。

  • チップバーンはECが低いほど少ない。おそらくEC1.4以下で少ない。
  • EC値を高くしてもカルシウムは吸収されずに養液中に残ってしまう。なので養液のカルシウム濃度を増やしても意味がない。
  • pHは実験の範囲内(5.8~6.4)だと差がなかった。(6.4を超えると肥料吸収に問題が出るので注意)

今回の検証だけでは、チップバーンの画期的な対策とはいえない感じですねぇ。

ただ、養液の影響ってのは、ECやpHそのものだけでなく、根の周りの水流も関係が深かったりします。

さらに条件を加えると、打開策が見つかる可能性もあるかもですな。

ヤサマガでは、水耕栽培に関する知識や技術を発信しております。他の記事もぜひ参考にどうぞ。

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