植物は日中に光合成を行うことで光のエネルギーを吸収、自らの体を大きくしているわけです。
じゃあ、光をずーっと当て続けると、ドンドン大きくなっていくの?
というのは生産者であれば考えてしまうもの。
光を当て続ける栽培方法はこれまでも研究されてきたテーマではあるものの、逆に生育が悪くなったり、障害が出てしまうことも。
あまり良い結果は聞かないんですよねー。
今回紹介する研究では、24時間の光だけでなく、肥料成分に手を加えることで活路を見出そうとしております。
ちなみに先に結論ですが、含有成分には影響があったけど、収量はよくわからない。って感じになってます。
ただまぁ、採算が合いにくい人工光利用の栽培施設でも使えそうな技術ですし、こういう研究には夢がありますなぁ。
今回参考にした文献はこちら。
光の時間と肥料成分の条件を変える

実験ではリーフレタスを使用しています。
レタスは、「長時間の光」や「アンモニアに対しての耐性が強い」ということから、今回の実験には最適とのこと。
播種したあとは、育苗→定植、栽培期間中に条件を変えて検証
播種後は1週間育苗し、その後定植。
栽培期間中に、①照明時間、②肥料成分を変えて検証しています。
光が当たる時間の設定、2パターン
収穫までの4週間で、明期の設定時間は以下の2パターン。
- 12時間
- 24時間
肥料成分の設定、5パターン
肥料成分の条件は、「硝酸:アンモニア」の比率を変更。
検証するのは、以下の5パターン。
- 0:100
- 25:75
- 50:50
- 75:25
- 100:0
実験は、合計10パターンで検証。
- 照明時間=2パターン
- 肥料成分=5パターン
つまり、上記の組み合わせで、実験としては計10パターンで比較検証したってことですな。
24時間の光とアンモニア増の組み合わせで、含有成分に変化がある

それでは結果です。
まず、アンモニアを施肥すると生育障害が起こってしまったそうな。
要因はpHが下がりすぎたから、とのこと。障害により生育がストップしたような状態かと思われます。
ん~しかしそうなると、結果を参考にして良いものか、という不安はありますが。
とはいえ、見えてくる傾向もあるのかな。と思いますので紹介です。
12時間 | 24時間 | アンモニア少 | アンモニア多 | |
---|---|---|---|---|
炭素の含有量 | 増 | 増 | ||
窒素の含有量 | 増 | |||
無機成分の含有量 | 増 | 増 | ||
硝酸の含有量 | 増 | 増 | ||
糖の含有量 | 増 | 増 | ||
クロロゲン酸の含有量 | 増 | 増 | ||
総ポリフェノールの含有量(乾物重) | 増 | |||
総ポリフェノールの含有量(新鮮重) | 増 | 増 |
内容成分への影響をまとめると、上記のような感じ。
二次代謝物を増加させようとすると、24時間+アンモニア25%~50%あたりが良いみたいです。
レタスの収量にも明確な結果が出ると良かったのですがねー。
障害が多く出てしまったということで、残念ながらわかりません。
研究チームもここの部分については、
培養液pHの低下による生育不良の問題を改善し、生産性の向上を図ることで、植物工場における高付加価値生産に寄与できる可能性が期待されることから、今後培養液pHを制御した条件で同様の試験を行い、さらに検証する必要がある。
とのことなので、今後の実験も楽しみです。

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